2017-12-27から1日間の記事一覧

なりそこねた小説 六

逃げ続けたらついに逃げ場所がなくなった。逃げる以外の生き方を知らないので屍のように生きている。他人は僕がまともになったと褒めてくれている。 _______ 「決してその話を誰にもしてはいけないよ。きっと良くないことが起こるからね」 「でも今あ…

なりそこねた小説 五

うっかりしたことに神様はその日予定よりもひとり多くの人を創ってしまわれました。ひとりくらいかまわないじゃないか、と思われるかもしれませんが、困ったことに魂の材料は不足がちなのです。特にその日は余裕がありませんでした。仕方がないので神様は魂…

なりそこねた小説 四

血を抜いたら思った以上に黒かったことが印象的でした。なるほど血を失うと白くなるのもうなずける。そう思いました。血を浴びた人間は洗い流せないほど黒くなるのだと思いました。そう思いました。 _______ 酒を飲んでいないのに意識が朦朧としたの…